ホーム>フォーラム>カンボジア・フォーラム

カンボジア・フォーラム
カンボジアの現状 ― 深刻化する人身売買をめぐって

【共催】
アジア財団
【日時】
2000年11月29日
【場所】
日本外国特派員協会 (地図)

スピーカーには、カンボジアよりCCRC(カンボジア紛争解決センタ-)共同所長兼コ-ディネ-タ-のオク・セレイ・ソペック氏とCWCC(カンボジア女性のための危機センタ-)創業者で現事務局長のオン・チャントル氏の両氏をお招きしました。

また、アジア財団・カンボジア代表のジョン・サマーズも出席し、現地政府やNGOとパートナーシップを結んで行う財団の取り組みについて、援助する立場からの具体的な説明がありました。
チャントル氏によると、現在カンボジアでは5万人から5万5千人に上るとみられる人身売買の被害者がいて、そのうち35%は18歳以下の若者であり、その65%は地方出身者ということです。彼女たちはブローカーにだまされて売春宿に送り込まれ、そのうち11%は50-100ドル程度で売り飛ばされているそうです。また、売春行為によるエイズへの感染率も高く、大きな社会問題になっています。家庭内での暴力に耐え切れず家から逃げ出し、そのまま売春に走ってしまう女性のケースも報告されています。これには、内戦の影響で暴力が紛争解決の手段として正当化されるようになったという社会的風潮も強く反映されていると聞きます。

 チャントル氏は人身売買の要因として「情報の欠如」、「低い識字率」、「内戦後の貧困と失業問題」の3点を指摘しました。

一方、人身売買を処罰する法律がほとんど機能していないことも深刻な問題です。警察官が賄賂に応じてブローカーを見逃したり、賄賂による検察や裁判官の買収が罷り通っています。

 彼女が事務局長を務める『カンボジア女性のための危機センター(Cambodian Women's Crisis Center)』には毎年平均400人の女性が救済を求めて逃げ込んで来ますが、センターの職員に対する売春宿経営者や人身売買のブローカーの言葉や肉体的暴力による脅迫も珍しいことでなく、手榴弾を投げ込まれるという事件もあったそうです。

最後にチャントル氏は、「人身売買の根絶は地球規模の取り組みであり、日本政府やメディアの果たす役割は大きい。是非、力を貸して下さい」という言葉でスピーチを締めくくりました。

チャントル氏の発言を受け、外務省・経済協力局 民間援助支援室室長の篠原勝浩氏より次のようなコメントがありました。

「カンボジアは、長く続いた内戦の影響を現在も引きずっています。難民が農村に戻っても土地がないため、結局都市に戻ってしまうし、貧富の格差も拡大している現状です。日本政府は、NGOや民間組織と協力して法制度やインフラなどの社会復興に特に力を入れています」

続いてソペック氏より、今後カンボジアが解決すべき問題点やそれに対して日本のNGO、民間組織が協力できることについて意見を述べました。

まず今後の課題として、「平和的な民主化プロセスの構築」、「法的枠組みの作成」、「国際社会に依存しない、自助努力による国づくり」の3点を挙げました。カンボジアの諸問題は中央政府だけでは解決できないものが多く、実際問題として地域住民が主体的に関わる必要があります。言ってみれば個々の問題が『草の根レベル』で意識され、解決されなければなりません。そのために日本政府やNGO、民間組織の専門性や情報が必要になります。とりわけ、「女性の様々な面における社会参加の促進」、「ヘルスケアに対する各自治体への支援」、「学校の建設を援助」の3分野における協力を強調しました。

最後にアジア財団・カンボジア代表のジョン・サマーズより、両氏の発言をふまえて次のようなコメントがありました。

「現在カンボジア・オフィスが行っているプロジェクトの一つに教育機関への援助があります。例えば、コンポンチャーン郡という地方では、調査の結果小学校6年生を修了した女子の大半が学校を辞めてしまうことがわかりました。そこで、郡と協力して1人あたり年間95ドルの奨学金を助成し、彼女たちは引き続き学校に通えるようになりました。

またカンボジアでは学校の数が不足しているため、生徒たちは遠くまで通学しなければなりません。自転車を供給するプログラムを実施し、フレームがカンボジア製の自転車を生徒たちに支給してます。

このように私たちはチャントル氏・ソペック氏の団体を含む25のNGO団体や、カンボジア政府、アメリカ開発庁などと協力し、カンボジアにおける効率的な政治と市民活動、法制度の整備、女性の権利と意思決定への参加、市民参加型社会の促進などに貢献しています。中でも市民の権利を守り、参加型の社会を目指すことは私たちの任務の原点です。」